相談について

 私は、長年の児童相談所での仕事でたくさんの子どもと会ってきましたが、同時に多くの職員とも出会ってきました。その中には、社会生活はできているけれども、本人からすると何らかの不全感を感じていて、例えば、対人関係上うまくいかないと感じていたり、あるいは、相手と対立したくないために自己主張を抑えてしまうというような、いわゆる「生きづらさ」を感じている人が結構いるものなのだと感じるようになりました。

 そういう私自身、昔は対立を避けて周囲に合わせるような態度が多く、自己主張はあまりしない方でした。しかし、仕事を始めてから10年ほど経った頃でしょうか、アサーションの研修を受けて「自己主張は権利である」と聞き、「えっ、自己主張って権利なの?」と驚いたことを覚えています。そのことがあったからといってすぐに自己主張ができ始めたとは思いませんが、ただ、自分が日頃、自己主張できていないと感じていたからこそ、「自己主張は権利である」との言葉に「自己主張してもいいんだ」という感覚を覚えたのだと思います。この「自己主張してもいいんだ」という感覚は、「自分の感覚を信じる」という点で自己肯定感につながっていると思います。

 今、こうしてブログやYouTube等で自分なりの表現をしていることは、「自己主張は権利である」との言葉に力を得た経過があるからこそ、今があるなあと感じます。

 私が、このブログで職員相談をしてみようと思ったのも、これまで出会ってきた職員の中に、背景(原因)はともかく、『今の自分でいいんだ』という自己肯定感があまり持てなくて、自己不全感ゆえに「生きづらさ」を感じ、場合によっては仕事を辞めてしまう人もいて、それは本当にもったいないと思うし、もし、不全感で悩んでいる人がいるのであれば、相談を受けることで、少しでもその人の力になれたらいいなあと思ったからなのです。

児童福祉の仕事は、子どもを相手にするだけに自分の生育歴に直面せざるを得ないことも起こります。仕事上から見る子どもの生活、現実の自分の生活、そして過去の自分の生活、それぞれの生活で感じたことが複雑に絡み合い、現在の自分の気持ちに影響を与えます。そんな中で自分の気持ちをいつも安定させておくことは、案外難しいものです。

悩むことが当たり前だと思いますし、悩まないようにすることは、それもまたストレスがかかります。変な話し、悩むことのお手伝いができればよいとも思います。

 そんなことを退職前から考えていて、でも現実にどうすればよいのか分からなかったけれども、ブログやYouTubeを始めたことで、やっと形になってきたのかなあと感じている今日この頃です。

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