#16 苦手なことについて

日常のエピソード

年を取ると、なぜかNHKの朝の連続ドラマを見るようになっています。私は7~8年前から録画しながら見ていて、退職後は放送時に見ています。

現在放送されているのは「ブギウギ」というドラマで、歌手の笠置シズ子さんがモデルで、水谷豊と伊藤蘭の娘さん「趣里さん」がヒロインを務めています。

今週は、ベテランになったヒロインが、若い歌手から歌合戦の時に自分の歌を歌いたいと言われて悩む姿が展開されています。ちょうど、ヒロインの娘が小学生で、クラスで一番足が速かったのに、転校生が現れ、その子の方が足が速いために体育の授業で競走すると負けてしまうから、学校に行きたくないと悩んでいます。

ヒロイン自身は、若い歌手と較べられて、もしかしたら、自分はもう時代遅れと見られてしまうかも知れないと感じながらも、若い歌手が自分の歌をどんな風に歌うのか楽しみになり、「ワクワクドキドキしている」と、若い歌手に自分の歌を歌って貰う為に作曲家に許可を貰いに行きます(実は、ヒロイン自身もすごく悩んだ期間があり知り合いや作曲家に相談するというエピソードもあるのですが)。

転校生に負けるから学校に行きたくないという娘に、競走で負けると悔しいから行きたくない気持ちも分かるが、「負けてしまうことから逃げると、そのことは一生忘れない。でも、(学校に)行くか行かないかはどちらでもいい、自分で決めなさい。」とヒロインは伝えます。結局、娘は登校し、転校生に負けて家に帰って「悔しい」とヒロインに泣きながら抱きつき、ヒロインは娘の悔しさに共感して抱きしめます。

このストーリーの中で、私は2つのことを感じていました。1つ目は「負けてしまうことから逃げると、そのことは一生忘れない」という台詞の時、私の中では「負けてしまう」を「苦手なこと」に変換し、私の頭の中では「(苦手なことは)追いかけてくる」ということでした。学生や現役の頃、苦手なことを後回しにしてきた自分が体験してきたのは、(特に)仕事をしている時には、苦手なことというのは、その時に避けることができても、違う場面で必ず取り組まざるを得ない場面がでてくるなあということです。

2つ目は、どんな時でも課題に立ち向かうことが大切なのではなく「逃げることがあってもよい」ということです。ドラマの中では、ヒロインが娘に「学校にいくかどうかは自分で決めなさい」という場面なのですが、ヒロインは、どちらの選択をしても娘を大切に思うよとも伝えているのです。こういう場面、一般には前向きに課題に立ち向かうことをよしとするメッセージが多いものですが、人間、いつでも元気で前向きな訳ではないですから、逃げることがあってもよいと思います。ただ、「逃げた」ことは、自分は分かっているので自己肯定感が下がり、そのことが「忘れない」という言葉にもつながるのですが、一方で、そういう弱さを持っていても「あなたはあなた」で、「そういうあなたを私は大切に思っている」と伝えることで、自己肯定感が下がることをなるべく防ぐことも大切なことだなあと思うのです。

そんなことを感じた朝ドラマでした。

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