再三のことで、なんと刺激が少ない生活をしているのかなあと思うのですが、今回も朝ドラからの引用です。
現在の朝ドラは、「寅と翼」というドラマで、ヒロインの伊藤沙莉さんは、ドラマの中で再婚(再婚相手は星さん)します。ヒロインは娘(優未(ゆみ)と言います)と一緒に星家に同居することになります。星家には、星さんの息子(司法試験を受けようとしている)と娘(大学生)、星さんにとっての義理の母が一緒に住んでいました。星さんの妻は既に死亡しています。いつ死亡したのかはっきりしないのですが、義理の母に子育てを任せていたという話題があったので、息子と娘が幼い頃だと思います。
再婚前から、星さんがよく話すようになったり、同居してから優未が中学生になり、記念写真を撮る時に優未の求めに応じて手をつないだりといった、再婚前の星さんとは大きく異なる態度を見せるようになっていて、そのことに息子と娘が反発します。「子ども扱い」の話が出てくるのは、娘が反発した時で、(細かな台詞は覚えていませんが)自分の家は、(家族の)仲が悪かった訳ではないけれど、父親(星さん)は、子どもの相手はしないし、子どもを散歩に誘うような父親ではない!と涙ながらに訴えます。つまり、これまでの星家では、父親は子どもの相手をするような文化ではなかったということです。星さんは、ずっと義母に子育てを任せてきたからと言いますが、それでも娘は義祖母(星さんの義母なので、娘からすると議祖母になります)に、それでもヒロインと優未がいいんでしょう?2人がいつも中心にいると訴えます。すると、義祖母は、「だって、ヒロインと優未は、(自分を)褒めてくれるから。別に褒めて欲しくて世話をしている訳ではないが、時々は褒めて欲しい、娘と同じように自分を見て欲しいの。」と話します。この後、ヒロインと優未はその場からいなくなり、星さんが娘に対して目線を同じ高さにし、「何が食べたい?」と聞き、娘が泣き崩れるというシーンが印象的でした。
ここで扱われているのは、表面上、大きなトラブルはないけれども、いわゆる幼少期から「良い子」でいなければいけなかった兄妹についての気持ちです。母親が死んで、本当は父親に甘えたいのに、それができず、ずっと我慢してきて、それが当たり前なのだと自分に言い聞かせてきた兄妹が、ヒロインと優未の登場により自分の気持ちに嘘がつけなくなったということなのですが、まあ、ドラマですから、星さんも子ども達ともっと近づきたいという気持ちがあり、娘を子ども扱い(甘やかした)した場面ということです。
子ども扱いと大人扱いというのは、結構難しい問題で、子どもの時にきちんと子ども扱いされていないと(子ども時代に甘える経験が少ないと)、我慢してきた思いは、かなり長く影響するもののようです。一方で、いつまでも子ども扱いしていると、大人になりきれない(何をもって大人かという議論は別にして)人もいるような気もします。 昔は、通過儀礼としての元服(戦国時代には、名前は違うけれども女性にもあったそうですね)だったり、最近までは成人式だったりと、そこを通過することで、その前までは子ども、その後は大人として扱われるという社会的な装置があったので、分かりやすかったけれど、現代では、子どもと大人の境目が曖昧となり、子どもか大人かという見方からすると、分かりにくい世の中になったなあと感じた日でした。
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