#65 なんのために生まれてなんのために生きるのか

日常のエピソード

今回の標題は、現在のNHK朝ドラ「あんぱん」の主人公(主人公は妻:今田美桜さん)の夫(やなせたかしがモデル)が作った『アンパンマンのマーチ』の一節です。

以前から、この歌は子どもを対象とするアニメにしては、歌詞が難解だなあと感じていましたが、改めて歌詞をみてみると哲学的な要素があるのに驚きます(参考に1番だけですが記しておきます)。

まず、歌い出しから「そうだ、うれしいんだ、生きる、よろこび」の後に「たとえ、胸の傷がいたんでも」とあり、「胸の傷がいたんでも」は、アニメの対象となる幼児や小学校低学年くらいの子どもを念頭に置いたものではなく、大人が過去の体験から「胸の傷がいたんでも」今は「生きるよろこび」を感じられるということなんでしょう。ドラマを見ていると、(おそらく)やなせさんの戦争体験が影響しているとは思いますが、子どもには実感しにくい内容でしょう。

しかも、次に「なんのために、生まれて、なんのために生きるのか、こたえられないなんて、そんなのはいやだ!」と続くのですから、これは、「自分は何のために生きているのか?」という思春期に感じる哲学的な問いに近いものだと感じます。

アンパンマンのアニメ化は、やなせさんが60才代後半と聞いているので、対象となる年代に向けてと言うより、やなせさん自身の思いをぶつけたものなのでしょう。

しかし、「なんのために、生まれて、なんのために生きるのか」という問いは、私にとっては今でも自分に問いかけているもので、答えはまだ分からないとしか言いようのないものです。昔(と言ってもいつ頃だったか忘れましたが)は、その答えを見つけるために生きているのだと自分に言い聞かせていたこともありましたが、今は、自分に何ができるのか、何をしようとしているのかを探すことが楽しいというか、(焦りも感じたりしますが)面白いと感じるようにもなってきています。

歌詞の2番の歌い出しは「何が君のしあわせ、なにをしてよろこぶ、わからないままおわる、そんなのはいやだ」と、自分だけでなく「君」という他者のことを理解したいという思いも書かれています。これも(おそらく)やなせさんの正直な思いなのでしょう。戦争を知らない私たちが、戦争を経験してきた人達の思いを汲み取ることは難しいと思うけれど、こうした歌詞から(背景を知っていると)も感じられることもあるなあと思うのでした。

歌詞(1番のみ)

そうだ うれしいんだ 生きる よろこび たとえ 胸の傷がいたんでも

なんのために 生まれて なんのために生きるのか こたえられないなんて そんなのはいやだ!

今を生きる ことで 熱い こころ 燃える だから 君は いくんだ ほほえんで

そうだ うれしいんだ 生きる よろこび たとえ 胸の傷がいたんでも

ああ アンパンマン やさしい 君は いけ! みんなの夢 まもるため

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