#59 感情リテラシー

日常のエピソード

先日NHKを見ていたら、「感情リテラシー」をテーマにした番組を行うことを宣伝していました。

「リテラシー」という言葉は、最近のネット社会で必要とされる「ネット(SNS)リテラシー」ということで、何となく耳にしていましたし、それこそネットで調べると「もともとリテラシーは、英語で読み書きの能力を表す言葉だが、日本ではそこから使いこなす能力へと意味が拡張したとのことです。ただ、使いこなすというのは、単に技術的な意味だけではなく、ネットには危険や嘘も含まれるし、一度発信した情報は永遠に残り続けると考えてもよいので、そうしたネットの特徴を理解しトラブルを回避しながら正しく利用する能力が「ネットリテラシー」である。」と解説されていました。

今回表題の「感情リテラシー」という言葉は、私にとってはなじみのない言葉でしたし、「感情」と「使いこなす」ということがどのように関係するのかな?と少し違和感があったので、これもネットで検索してみました。すると「感情リテラシーとは、感情を正しく理解・認識し、表現する能力。また、他者の言葉の背景にある心理状態を理解する能力も指す。」とありました。いや、これは心理臨床家として目指すところというか、面接中に起こる自分の感情に気づいて、それをどのように表現するかということや、面接している対象となる人の言葉の背景にある心理状態を理解しようとする努力は一生ものだと思ってきましたから、この内容がNHKの番組になるということはどういうことか?と思いました。

番組の宣伝しか見ていないので、詳しい内容は分からないのですが、宣伝で触れられていたのは、自分の感情を理解できずうまく表現できないことが、対人トラブルにつながっている人がいるといったことをテーマにしているようでした。

これもネットで検索してみると、4月16日のクローズアップ現代という番組で取り上げられたようです。番組紹介によると、特殊詐欺や校内暴力など深刻な問題の背景には、感情をうまく言葉にできない若者たちの現実があり、刑務所の取り組みから小学校での実践、専門家による分析まで幅広く紹介され、言葉で感情を伝える力の大切さが浮き彫りになったと紹介されていたようです。

私としては、すぐにスターンの情動調律を思い出し、(特に)母子間で起こる情動のやり取りが自分の感情に気づくことや、対処方法を学ぶ基礎になっていると思っていますが、番組では背景にスマートフォンやデジタル機器との過剰な接触があると感情心理学の専門家が分析しており、ある刑務所で感情表現トレーニングを実施していることの紹介や家庭で保護者が子どもの感情に寄り添い向き合うことの大切さを話していたようです。

私も現役時代、衝動的な子どもに対して、感情カードを使って自分の状態を認知させ、その状態になった時にどう対処するかというようなことをやっていたなあと思い出しました。 日本の社会でも、昔言われていたような「ウエットな親子関係」というのは随分薄れ、スマホに子守をさせていると聞くと、確かに現代の親子関係の希薄さを物語っているのかもしれないなあと感じた時間でした。

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