#44 児童相談員という職種

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前回、チャンネル開設1周年記念ということで、通常とは違う内容で書きましたが、思ったよりも多くのご視聴、ありがとうございます。今のところ、話すテーマに関する提案は1件もありませんが、引き続き募集しておりますので、よろしくお願いします。

前回、私が現役時代所属していたのは神奈川県であることを書きましたが、神奈川県の児童相談所には、「児童相談員」という職種があります。今回は、最近の「あいだシリーズ」とは違い、「児童相談員」という職種について書いてみたいと思います。

ここから「児童相談員」のことを単に「相談員」と書くことにします。「児童相談員」という職種については、児相で配置している自治体は少ないと以前から聞いていました。今回話すことに決めたこともあり、ネットで「児相」+「児童相談員」とか「相談員」と「配置自治体」という言葉で検索してみたのですが、配置している自治体が分からないのです。

児童相談所における資格要件のような資料では、児童福祉司や児童心理司は出てくるのですが、「相談員」と資料の中にあっても、特に資格要件は書かれていなかったりしていました。ということは、児相には、相談員は置いても置かなくてもよい職種のようです。私が現役時代、聞いた話によると、インテーク(初めて児相に来所した時、相談者がどんな理由で来所したかや相談内容からどの職種と面接するのがよいかを判断する面接)をするための相談員を配置している自治体もあると聞いたことがあります。

神奈川県の児相の場合、相談員は、インテークも行いますが、そのままその事例を担当することも多くありました。福祉司との違いを簡単に説明すると、重篤な虐待ではない相談やその他の相談ニーズで、児相に通ってくる家族の相談に応じるというのが相談員の仕事でした。と口で説明するのは簡単なのですが、「重篤でない虐待相談」とか「児相に通ってくる家族」というのは、その時の状況によっても変わってくるので、福祉司が担当する事例と重なる部分も出てきます。このあたり事例の内容によって相談員が担当するのか福祉司が担当するのかが微妙なところもあり、実際、相談員と福祉司との間でせめぎ合いが生じることもあります。

ただ、そういうことはともかく、児相に来所して貰って面接を継続するということは、とても大変なことです。これは、継続して来所してくる家族の方もそうですが、相談を受ける側、相談員にとっても心理的に大変なことです、2週間に1回と聞くと、結構あいだがあいている印象を受けますが、相談を受けている側からすると、2週間は、それこそ「あっ」という間で、すぐに次の面接がやってくるという感覚になります。相談ニーズの内容に沿って、変化を感じることができればいいですが、なかなか変化を感じられず、毎回同じような話をしているなあと感じると、次はどんなことを話そうかと考えてしまうこともしばしばではないかと思います。しかも、児相は、子どもについて困っていることについて話す場所ですから、面接の内容が、子どもではなく、いつのまにか相談に来ている保護者自身のことになっていることも多くあり、それに気がついてしまうと相談員としては、このままでよいのだろうかと悩んでしまうこともあるでしょう。 

相談員は福祉司とは別の職種として位置づけられていて、虐待対応が社会的要請になっている現在の児相で、福祉司の数が法制化された中では、相談員の存在をどう考えるか、相談員を福祉司にしてしまえば、福祉司の数として数えることができるので、自治体としては福祉司の法制化に対応しやすくなります。

ただ、私の感想で言えば、相談員を福祉司に安易に切り替えることがなかった神奈川県の対応は良かったのではないかと思っています。

虐待対応は、保護者の話を聴くことよりは、どうしても再発防止が優先され、保護者に対して指示的になることが多くなりがちです。

人の話を聴くという、相談活動に欠かせない姿勢は、現在の児相では、福祉司よりは相談員に求められていると感じます。国の姿勢としては、保護者の話を聴くような体制は市町村に移し、児相には、その指導をするような体制にしようとする印象を受けますが、実際に人の話を聴くことのない児相が人の話を聴くように市町村を指導することは困難だと思われるので、人の話を聴くという機能を児相に残している神奈川県の判断は適切であると思っています。  ということで、神奈川県の児相の相談員の皆様、自分の仕事に誇りを持って欲しいと私は考えています。

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