#97 「Think for yourself」

日常のエピソード

この英語のフレーズを直訳すると「あなた自身のために考える」ということでしょうか?一般的には「自分で考えなさい」ということで、「他人の意見に流されず、自分の価値観で判断する」というニュアンスがあるそうです。

このセリフは、先日も触れたNHKの朝ドラ「風、薫る」の中で、主人公が「トレインドナース(訓練を受けたナース)」の養成所に入学し、そこに赴任したバーンズという先生(バーンズは、ナイチンゲールから教育を受けたとされるスコットランド人)が主人公に向かって言うセリフです。バーンズの教育方法は、理屈(理論)もあるけれど実践(実体験)を優先する中で理屈と照らし合わせるような方法を取っています。なので、入学生(主人公2人を含めて7人)に対して入学生からの質問に安易に答えたり教えたりするより、実践する中で感じさせるような方針を取っているように見えます。入学生からすれば、質問しても直接答えてくれる訳ではないので、厳しい先生と映っているようです。

実は、バーンズは開校時には間に合わず、開校後しばらくして到着するのですが、到着するまでにナイチンゲールが書いた本を読み、特に最終章の意味を理解しておくようにとの課題を出していました。その本に、看護には「observation」が大切であると書かれているが、この時代(明治初期)には、「observation」の適切な和訳がなかったようで、主人公が知り合いに相談して『観察』という訳語を見出してきます。

この「Think for yourself」や「observation」という言葉というか実際は、児童相談所に限らず、人を対象とする仕事には大切なことだよなあとの感想を持ちました。

本や研修等で色んなことを学ぶことは大切なことですが、目の前にいる人を観察し、目の前の人とのやり取りの中でその人がどのような状態にあるのかを自分で判断するというプロセスがなければ、人を相手にする仕事では充分ではないと思います。

例えば、児童相談所の場合、面接時にどのような質問をするとか、対象となる人の反応によってどのように対応するかというような技術(スキル)は大切ですし、スキルは上司の助言や本、研修等で学べるものでもありますが、対象となる人の状態を自分で観察・判断し、その状態に応じたスキルを用いることが大切になってきます。いつも同じスキルを用いれば良いということではなく、対象となる人の状態によっては、いつもとは異なるスキルを用いることも大切な場合もあるのではないかと思うのです。  話は変わりますが、今朝、児童相談所の福祉司の担当ケース数が4年前と比較すると半減したという調査結果が出たというニュースを見ました。このニュースを見た時、そのこと自体は悪いことではないけれども、「Think for yourself」や「observation」を教えられる人がいなくなっているんだよなあとも感じました。いくら上司がスキルを教えても、最終的には担当者の判断で物事が進むのが児童相談所なので、#56 「AIと臨床」でも触れたように、「Think for yourself」や「observation」の機会を保障することが児童相談所(だけではありませんが)の人材育成に影響するのではないかと感じた日でした。

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