#106 非行児の初回面接

心理シリーズ
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前回は「療育手帳判定業務」について書きましたが、今回は非行児の初回面接ということで書きたいと思います。

最近では、警察からの通告というと「泣き声通告」だったり「面前DV(夫婦喧嘩)」のような虐待通告が多くなりました。でも、比率は下がっているでしょうが、非行児(児相の種別で言えば、触法や虞犯ですね)の通告も残っている筈です。

第38回の「児相と警察のあいだ」の回で、非行児のことについて少し触れていますが、第38回は児相と警察という機関の違いについて話しているのですが、今回は、警察からの通告という制度の中での子どもについて焦点を当ててみようとする内容です。

さて、警察から非行児として通告されるということは、既に触法行為(内容は様々ですが)を行っているか、このままでは触法行為をしてしまいそうだと警察が判断した児童(虞犯少年)ということになります。第38回で触れたように、非行児の通告は警察からの通告が数か月経ってからということもあるのですが、その間、子どもは、警察から取り調べを受けますし、場合によっては、家族からも責められてきている可能性があります(もちろん、家族は子どもを守ろうとしている場合もあります)。そんな中、子どもを含めた家族は、警察から言われて児相に連絡され、児相から呼び出しを受けるという立場になります。警察から通告を受けた児相は、子どもを含めた家族に対して児相に来所するように連絡することになります。この流れは児童福祉法や少年法に基づいたものなので、児相としてはとやかく言うことは難しいものです。

さて、このような社会的に定められた流れで児相に来所した児童は、どのような構えで来所するでしょうか?警察が非行と判断した内容は様々なので、ここでは話題にしませんが、少なくとも、警察では何らかの形で取り調べを受けてきたでしょうし、警察の役割は、子どもが行ったことについては、社会的に許されないことや場合によっては罰せられることもあることを伝えているでしょうし、(必ずではありませんが)家族も警察と同じうようなことを子どもに伝えている可能性があります。しかも、児相に来所すると、まずは非行とされた行動が本当かどうか確認される訳ですから、子どもとしては、「もう分かった。自分は悪いことをした」と感じ、どうせ大人は自分のことを叱る(責める)存在なんだと感じていても不思議ではないでしょう。

ここが、心理としては狙い目です。もし、子どもが「どうせ、大人は自分を叱る(責める)存在なんだ」と感じているとしたら、どうやってその構えを外すかが初回面接のテーマとなります。とは言っても、子どもとの個別面接になってすぐに、自分は子どもの味方みたいなことを言ったとしても、子どもは、これまでの大人との付き合いから、味方になってくれるかどうか懐疑的になる可能性もあると思います。

私がよく行っていた方法は、児相という場所の役割(取り締まりではなく再発防止)と個別面接の説明(守秘義務)をした後、「どうして(どうなったから)警察に捕まるなんていうドジを踏んだのか?」と聞くことでした。あるいは、「(具体的には)どんな風に警察に捕まったのか?」と警察に捕まった時のことを聞く質問でした。この質問は、少なくとも、児相(自分)が、警察とは違う立場で、「警察に捕まった」という事態を知りたいということを伝えるための質問ですし、実際にどのように捕まったのかを聞く質問でもあります。「どうして、非行の内容をしようと思ったのか?」というような開いた(オープンな)質問ではなく、かなり閉じた(クローズな)質問なので、子どもも答えやすいですし、この答え方によって、子どもの能力をある程度推測することもできます。さらに、大人から、叱られる(責められる)であろうと思っていた子どもの構えを外すことにもつながっていくものであるとも思っています。この質問に対する子どもの答えは様々なので、その後の展開は何とも言えませんが、子どもが話すことに大人が関心を持っていることを示す意味もあって、具体的な質問をしていくことも大切な姿勢であると思います。可能であれば、警察に捕まった後、誰が迎えに来たかとか、家に帰った後の家族の子どもに対する反応なども聞いておくと参考になると思います。

「子どもの構えを外すこと」は、特に非行のような社会的に許されないような行動をしている場合には、一般的な「大人」に対する反発心があることが多く、「大人」への反発心を和らげ子どもが感じていることを表現することを支援するようなアプローチが不可欠だと思います。 初回面接は、お互いが緊張する場面であるが故に、印象としては強いものになるので、子どもが持っているであろう「構え」をどのように外していくのかが1つの大きなテーマになるような気がします。

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